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臨床での活用漢方で治そう

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癌の漢方治療

癌治療の現状と漢方薬の役割

 癌の初期治療は手術、化学療法、放射線治療などの現代医療が優先されます。それに対して漢方薬の効果は西洋医学的治療に比較すると弱いと考えられますが、漢方医学は補助療法としてquality of life(QOL) の向上に有用性があります。

漢方薬の効果から分類

1) 抗腫瘍効果を示す漢方薬
NK細胞を活性化する補中益気湯、マクロファージを活性化する十全大補湯があります。

2) 癌治療の副作用を軽減する漢方薬
治療による消化器の症状の改善は脾胃虚の改善薬、治療や罹病期間が長くなると気虚になりその改善には補気剤が使われます。

3) 発癌予防や再発予防、免疫力を維持させる漢方薬
長期に服用できる補剤が使われます。

処方の実際

癌の進行や治療が長期になったときに使われる処方 (補気剤、気血双補剤)
  1. 四君子湯:
    補気の基本処方で、人参湯に茯苓と大棗を加えて、乾姜を生姜に変えたもの。脾胃が虚して食欲不振、無気力、四肢倦怠の著しい場合に用いる。
  2. 六君子湯
    四君子湯に二陳湯を合方した処方で、四君子湯を用いる気虚の状態で悪心、嘔吐・食欲不振などの消化器の症状がある場合、癌治療で気虚になった場合に用いる。
  3. 補中益気湯
    四君子湯の適応する状態で、さらにアトニー症状がある場合に用いる。アトニーは骨格筋や平滑筋のトーヌスが低下した状態で四君子湯や六君子湯よりもさらに消化機能の低下や四肢の脱力感がある時に使用する。また、NK細胞の活性化や腸管免疫の活性化で再発予防や免疫力の維持にも使われる。
  4. 十全大補湯
    適応となる典型的な病態は、体力・気力ともに衰弱した状態で気虚と血虚の場合。気虚という機能面の低下にさらに体重の減少や筋力の低下、皮膚の枯燥など物質面の低下を伴う場合に用いる。具体的にはマクロファージを活性化して抗腫瘍効果や予防、放射線治療に併用して副作用の軽減を目的にする。
  5. 人参養栄湯
    十全大補湯の加減方で五味子と遠志があり鎮咳や去痰作用があるため、原疾患や治療の副作用による呼吸器症状を伴う場合に使われる。
気虚・血虚以外の症状を認めるときに使われる処方
  1. 半夏瀉心湯
    原疾患や治療の副作用による下痢症状があるとき。体力の低下した陰証の下痢には真武湯が使われることもある。
  2. 小半夏加茯苓湯
    治療の副作用による嘔気・嘔吐症状があるとき。
癌の病状により精神的な障害がある場合に使われる処方
  1. 加味帰脾湯
    精神的な障害による不眠や食欲低下のあるとき。加味逍遥散よりも内向的抑制的な場合。
  2. 加味逍遥散
    精神情緒が不安定でイライラが強く、いろいろな訴えが多く外交的発散的な場合。