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品質管理への取り組み (QUALITY CONTROL)
ダイオウ配合製剤 品質一定化への取り組み

瀉下作用安定化のために

大黄(ダイオウ)

大黄は熱に不安定な成分を含み、その含有量も個々のバラツキが大きいことから、一定品質の製剤を製造するためには様々な技術が必要となります。
大黄配合漢方エキス製剤は、特に瀉下作用の安定化が重要な課題となることから、その主要成分であるセンノシド類含量の安定化にむけ原料生薬を厳選、品質を管理しています。また、製品の特性を生かすべく、抽出工程では大黄の成分に配慮した独自の製法で製造しています。

大黄は品質のバラツキが大きい生薬です。
外部形態調査や成分分析を重ね、品質確保に努めています。

R.officinale Baillon(薬用大黄)
R.officinale Baillon(薬用大黄)

大黄はタデ科(Polygonaceae) のダイオウ(Rheum)属植物に由来し、産地の違いなどにより成分含量(センノシド類)は
0.1~2%の変動が見られ、個体差が大きい生薬といわれています。第15改正日本薬局方(日局)ではその基原をRheum.palmatum Linne,R. tanguticum Maximowicz,
R. officinale Baillon,R. coreanum Nakai *1の4種またはそれらの種間雑種の、通例、根茎で、センノシドA 0.25%以上を含むと規定しています。Rheum属は、自家不和合性*2という植物特性があり種間雑種を容易に形成します。また, 大半は海抜3000m以上の高山地帯に分布する野生株のため生育環境も多様で、さらに産地によって採取後の加工条件も異なることから、個々のバラツキが非常に大きく品質上の管理が難しいとされています。

*1:R.coreanum N.(朝鮮大黄)は北朝鮮の一部にのみ分布し、資源量が少ない植物です。

*2:自家不和合性とは、同一株内のおしべとめしべ間で受粉しても種子ができない性質のことで、種子を結ぶためには昆虫などを介し別の株からの花粉が必要となります。

中国産地

クラシエでは現地調査を通じてR. officinale (中国名:薬用大黄)は重慶市~四川省中部、R. palmatum (掌葉大黄)は四川省中西部~チベット自治区及び甘粛省、
R. tanguticum
(唐古特大黄)は四川省北部~青海省に分布することを確認しています。植物学的には主に葉の切れ込みの深さで基原が区分されていますが、地下部の成分含量は形態上の差異と必ずしも相応するものではなく、センノシドA含量には、産地ごとで特徴が見られました()。
現在、中国各地で栽培も行われていますが、その多くはセンノシドA含量が低く、日局適合品の供給は主に野生品に依存しています。クラシエでは、長年にわたる調査・研究から日局適合となる優良系統の栽培化に着手し、成分含量の安定した大黄供給計画を進めています。

表 大黄の基原とその外部形態およびセンノシドA含量
大黄の基原とその外部形態およびセンノシドA含量

大黄にはさまざまな生理活性が認められています。

大黄の成分および薬理作用

大黄は古典には駆瘀血(血の滞りを改善)、通利(利尿、通便)、清熱瀉火(消炎)を有すると記載されています。現代薬理学的にも、瀉下作用、抗菌作用、向精神作用、鎮痛・消炎作用、腎不全改善作用など、多彩な作用とその成分に関する多くの報告があります。なかでも瀉下作用は古くから研究されており、その作用は主にセンノシド類(センノシドA~F)によることが明らかにされています。また、センノシド類単独で用いた場合よりも、大黄を用いた場合のほうが瀉下作用に習慣性(耐性)がおきにくいことが知られており、アントラキノン類が腸内細菌に抑制的に働くことやタンニン類の収れん作用が影響しているといわれています。最近ではレスベラトロール関連成分に抗酸化作用や抗老化作用、抗腫瘍作用、悪玉コレステロール低下作用などの生理活性が報告され、センノシド類以外の成分についても注目されています。

大黄成分のPDA分析

製剤中のセンノシドA含量 および瀉下作用の ED50値(マウス)
大黄配合量
(g/日)
センノシドA含量
(mg/日)
瀉下作用ED50
(mg/kg)
桃核承気湯 3 10.4 720
三黄瀉心湯 2 4.1 470
防風通聖散 1.5 4.7 3200
茵蔯蒿湯 1 3.8 1500
乙字湯 1 3.4 2900
大柴胡湯 1 3.3 4400
柴胡加竜骨牡蛎湯 1 2.2 >5200

漢方薬は複数の生薬から成り立ち、薬効はその複合作用としてあらわれます。瀉下作用についても同様で、大黄以外の生薬成分の影響もあり、センノシドA含量と瀉下活性が必ずしも相関するものではありません。
また、柴胡加竜骨牡蛎湯は、瀉下作用より向精神作用を期待して大黄が配合されているため、 通常の抽出条件で抽出しています。

センノシド類は熱に不安定なため、製造工程における熱履歴に配慮して成分含量の安定化に努めています。

クラシエは瀉下成分センノシド類の安定化にこだわりをもっています。大黄の主成分センノシド類は熱に不安定であることがわかっており、エキス製造においては熱履歴を考慮し、製品によっては古典を参考に 大黄の煎じ時間を短くした独自の製法(後煎)を行っています。また、製品中のセンノシド類含有量を 一定に調整し、大黄配合製剤の瀉下作用安定化を図っています。

センノシド類の抽出温度の影響

大黄中のセンノシド類は低温抽出(例:70℃)では時間の経過とともに抽出液に移行し、60分で約90%の移行率を示します。一方、沸騰温度付近で抽出すると、約5分間で85%が移行しますが、15分以降は移行率が低下し、熱分解により60分後では55%の移行率となります。
クラシエでは、工場生産での低温抽出は耐熱性微生物による汚染が懸念されるため、大黄を沸騰温度付近で短時間抽出し、センノシド類の分解を抑えています。

抽出温度の影響

センノシド類の熱分解に対する配慮