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生薬中の酵素による影響 品質一定化への取り組み

アミグダリン・バイカリン含量を安定確保するために

黄芩(オウゴン)

 桃仁・杏仁中のアミグダリンや黄芩中のバイカリンは、それら生薬中に含まれる酵素により一定の温度・湿度条件下で分解されることが明らかにされています。漢方エキス製剤のアミグダリンおよびバイカリン含量の一定化にあたっては、含量の安定した原料生薬の確保と厳密な製造工程管理が重要となります。
 クラシエでは、原料生薬の産地を厳選し、受入れ時には独自の基準を設け品質評価を行っています。さらに、抽出工程では昇温速度をコントロールし、酵素の作用時間を短縮することで酵素分解を抑え、製剤中のアミグダリンおよびバイカリン含量を安定確保しています。

公定書規格ならびに独自の基準書に適合した生薬のみを厳選しています

トウニン(桃仁)キョウニン(杏仁)の品質1)

 桃仁はいわゆる「桃」の核の中にある成熟種子(硬い殻を割って取り出したもの)を乾燥したもので、ほとんどにおいはなく、味はわずかに苦い油ようの生薬です。第15改正 日本薬局方[以下,局方(第15局)]ではその基原植物はバラ科(Rosaceae)のモモ Prunus persica Batsch 又は P. persica Batsch var. davidiana Maximowicz と規定されています。
 杏仁はいわゆる「杏(あんず)」の成熟種子の乾燥品で、においはほとんどなく、味は苦い油ようの生薬です。局方(第15局)ではその基原植物はバラ科(Rosaceae)のホンアンズ Prunus armeniaca Linné 又はアンズ P. armeniaca Linné var. ansu Maximowicz と規定されています。
 桃や杏は日本では観賞用や食用として栽培され、種子は未熟なものが多く薬用にはなりません。生薬としては、主に中国から輸入されています。
 原料生薬は天然物のため、ロットごとに成分などの変動がみられます。クラシエでは、基原が確認された産地のものを選定するとともに、指標成分の一つであるアミグダリン含量が一定幅のものを厳選して品質の安定化に努めています。

オウゴン(黄芩)の品質1)

オウゴン

 黄芩は、局方(第15局)では、シソ科(Labiatae)コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi)の周皮を除いた根で、バイカリン10.0%以上を含むと規定されています。また、外面、切面の色調は黄色で木部に空ろ(うつろ)および腐朽部分(あんけ)が少なく、質が重く、苦味の強いもの(丸軸、条芩)が良品とされています。 黄芩の主要成分はバイカリンをはじめとするフラボノイド類化合物で、黄芩の薬理作用にある程度関与することが明らかにされていますが、これらフラボノイド類化合物の含量は生薬のロットにより大きく変動し、品質確保の難しい生薬といわれています。
ほとんどが中国から輸入され、野生品の減少とともに現在では栽培品が主に流通しています。

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抽出液の昇温速度を上げ、酵素作用時間の短縮により、
成分含量の安定化に努めています。

 桃仁・杏仁に共通する青酸配糖体アミグダリンおよび黄芩 の主要成分バイカリンは、一定の温度と湿度条件下でそれぞれの生薬に存在する酵素により分解されます。アミグダリンは酵素(エムルシン)により加水分解されベンズアルデヒドとグルコースに、バイカリンは酵素(バイカリナーゼ)によりバイカレインとグルクロン酸に加水分解されることが知られています。バイカレインはバイカリンの活性本体と考えられますが、難溶性のため抽出過程で析出して生薬残渣に吸着し、残渣と共にろ過されるため溶出効率が低下します。これら酵素はいずれも反応最適温度を有し、高温では失活します。通常工場規模での抽出工程では抽出液の昇温に時間を要するため、生薬は酵素の作用を長く受けてしまい、成分溶出率が低下します。クラシエでは、酵素作用温度域を早く通過させること、すなわち湯剤の昇温時間に近づけるため、抽出液の昇温速度を上げて酵素作用時間を極力短くするよう配慮しています。

アミグダリン・バイカリンの分解反応

加熱条件の影響2)

 杏仁配合処方の麻黄湯を例にとり、抽出時の加熱条件とアミグダリンの溶出挙動との関係を検討した結果です。実験Bではアミグダリンの溶出率が実験Aの1/2以下に低下することが明らかとなり、これは生薬中に存在する酵素エムルシンの作用時間が長くなったことによると考えられました。

アミグダリンの抽出率におよぼす加熱条件の影響

実験A:沸騰するまで100Vで加熱し、以後70Vで抽出 (沸騰までの所要時間約60分)
実験B:終始70Vで穏やかに加熱して抽出 (沸騰までの所要時間約120分)

製剤中のアミグダリン含量

杏仁配合量
(g/日)
アミグダリン含量
(mg/日)
桃仁配合量
(g/日)
アミグダリン含量
(mg/日)
麻黄湯     5
神秘湯     4
五虎湯     4
麻杏薏甘湯   3
124.2
 97.5
 96.0
 86.7
桃核承気湯  5
桂枝茯苓丸  4
108.5
 64.5
当社実測値

製剤中のバイカリン含量

黄芩配合量
(g/日)
バイカリン含量
(mg/日)
黄芩配合量
(g/日)
バイカリン含量
(mg/日)

小柴胡湯    3
黄連解毒湯   3
柴朴湯     3
柴苓湯     3

195.8
150.2
161.7
168.1
柴胡加竜骨牡蛎湯   2.5
防風通聖散       2
温清飲        1.5
三黄瀉心湯       1
144.8
120.1
 81.5
 43.0
※当社黄芩 配合製剤より一部抜粋   当社実測値

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トウニン(桃仁)・キョウニン(杏仁)の鑑別

 桃仁と杏仁は同属植物の種子を基原とするため共通点が多く、鑑別の難しい生薬です。鑑別方法の一つには、生薬の形状があげられます。桃仁は、杏仁に比べやや細長く扁平したいわゆるアーモンド型をしています。一方、杏仁は鈍三角形をしています。ちなみに、モモやアンズは核果(かくか)と呼ばれる果実で、外側の果皮(外果皮)および果肉(中果皮)が硬い殻(核)を取り巻いています。硬い殻は種子の外殻と思われがちですが、植物学上は内果皮と呼ばれる果皮の一部で、この硬い殻を割って中の種子を日干しにしたものが桃仁・杏仁(生薬)にあたります3)

トウニン・キョウニンの鑑別(イラスト)

 アーモンド型や鈍三角形といった種子の形状は典型例で、個体や品種により中間的な物も見られます。このような場合は、形状だけで完全に区別するのは困難です。これまでにもアミグダリン含量の差による鑑別方法などが報告されていますが、成分含量には個体差もあり、鑑別が難しいこともあります。
 日本薬局方第15局第1追補から確認試験法が改正され、キョウニンではアミグダリンに加えクマリン類を確認することになりました。両者の鑑別に役立つ方法の一つといえるでしょう。

アミグダリン含量、クマリン類確認試験

[参考文献]
1)第15改正 日本薬局方解説書
2)人見信之ほか:第12回生薬分析討論会要旨 p.15(1983)
3)牧野日本植物図鑑 p.9