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月経前症候群(PMS)の漢方治療

月経前症候群(PMS)の漢方治療

 月経前症候群(PMS:pre-menstrual syndrome)は、月経前の1~7日に渡りこころや体にいろいろな不快症状が現れる病態で、月経が始まるとそれらが消失してしまうのが特徴です。症状は頭痛、肩こり、手足のむくみ、乳房の張り、むくみやだるさ、便秘や下痢などの身体症状に加え、イライラ感や気分の落ち込みなど精神症状が現れることもあります。月経のある女性の2~5割に見られるポピュラーな病気ですが、個人差が大きく西洋医学では原因が解明されていないため、しばしば治療に苦慮します。
  一方漢方では、卵巣から分泌されるホルモンの変化と患者自身の体質やそのときどきの体調が原因にあると考えます。つまり子宮内膜や骨盤内の血液循環が変化するために血の異常(瘀血や血虚)があり、さらに月経の2週間前ごろからのホルモン量の変化によって体内に水分を貯留させることから水滞(水毒)が加わります。また気の異常を伴うこともあり、これら「気」「血」「水」のバランスが崩れることから、多彩な症状を呈することになります。
  また五臓で病態を説明すると、「腎」が子宮の発達を促し、「脾」が消化吸収力や免疫力に関係し、「肝」が内分泌や自律神経系の調節作用をして子宮に血液が満ちあふれると月経が周期的に招来すると考えます。この五臓の異常で生理のリズムが狂うことによって、月経に関係する種々の異常をきたすと考えることもできますが、今回は気血水の異常からPMSを考えます。

  • 気・血・水が整った状態
    気・血・水が整った状態
  • 気・血・水のバランスが乱れ PMS症状が現れる
    気・血・水のバランスが乱れ
    PMS症状が現れる

処方の実際

肩こり、のぼせ、腹痛がある場合(瘀血)
  1. 1. 桂枝茯苓丸料
    のぼせ、肩こりがある場合。生理痛にも効果を示し、第一選択薬とします。
  2. 2. 桃核承気湯
    便秘、のぼせ、肩こりがある場合に用いられます。
  3. 3. 当帰建中湯
    冷え性、腹痛がある場合に用いられます。

*桃核承気湯の承気は「順気」を意味し、気逆改善を意味しています。その他、PMSで便秘やほてりがある場合には、大承気湯で改善することもあります。

体や頭が重く感じる、嘔吐やめまいがある場合(水滞)
  1. 1. 当帰芍薬散料
    頭重感、めまい、冷え症、肩凝りがある場合に用いられます。
  2. 2. 五苓散料
    頭痛、むくみがある場合に用いられます。 単独での使用でも良いですが、四物湯を併用すると著効する場合があります(下記参照)。
  3. 3. 苓桂朮甘湯
    めまいを伴う場合に用いられます。
  4. 4. 半夏白朮天麻湯
    頭痛を伴う場合に用いられます。
  5. 5. 当帰呉茱萸生姜湯
    冷え性や、腹痛を伴う場合に用いられます。
  6. 6. 呉茱萸湯
    頭痛、げっぷ、みぞおちの痞えがある場合に用いられます。

*これらの方剤で改善しないときは、頭痛には五苓散合四物湯、めまいには苓桂朮甘湯合四物湯(連珠飲)のように、四物湯を合方するとよい場合があります。五苓散合四物湯の場合には半量ずつ(1:1)から開始し、「水」の異常や「血」の異常が優勢の場合には、その比率を2:1や1:2にしてもよいです。

症状がひどい場合(気の異常(気虚、気うつ、気逆)を伴うもの)
  1. 1. 加味逍遙散料
    イライラしたり逆に心気的で元気がない場合に用いられます。(気血両虚)
  2. 2. 補中益気湯
    身体がだるい、眠い、下痢、神経が過敏のときに用いられます。
  3. 3. 半夏厚朴湯
    不眠や不安感などの精神症状が強いときに用いられます。
  4. 4. 香蘇散
    胃腸虚弱のため腹満、腹痛、悪心、嘔吐のあるときに用いられます。
  5. 5. 抑肝散加陳皮半夏
    イライラ、眠気、逆上、腹痛、夫との口論のようなときに用いられます。

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