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人参養栄湯
人参養栄湯

基礎報告

■ご所属は論文発表当時のものです。

人参養栄湯はオレキシン1受容体の活性化により食思促進作用の一部に関与する
Japanese Herbal Medicine Ninjinyoeito Mediates Its Orexigenic Properties Partially by Activating Orexin 1 Receptors
Frontiers in Nutrition, 7:5,2020
doi: 10.3389/fnut.2020.00005
Kanako Miyano*1, Kaori Ohshima*1,2, Nozomi Suzuki*1,3, Saho Furuya*1,3, Yuki Yoshida*1,4, Miki Nonaka*1, Yoshikazu Higami*4, Kazumi Yoshizawa*2, Hideaki Fujii*3 and Yasuhito Uezono*1,5,6
*1 Division of Cancer Pathophysiology, National Cancer Center Research Institute, Tokyo, Japan
*2 Laboratory of Pharmacology and Therapeutics, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Tokyo University of Science, Chiba, Japan
*3 Department of Medicinal Chemistry, School of Pharmacy, Kitasato University, Tokyo, Japan
*4 Laboratory of Molecular Pathology and Metabolic Disease, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Tokyo University of Science, Chiba, Japan
*5 Division of Supportive Care Research, National Cancer Center Exploratory Oncology Research and Clinical Trial Center, Tokyo, Japan
*6 Innovation Center for Supportive, Palliative and Psychosocial Care, National Cancer Center Hospital, Tokyo, Japan

〔概 要〕

癌性悪液質は進行性癌の患者に非常によく見られ、摂餌量と体重の減少を特徴としています。 12種類の生薬で構成される人参養栄湯(NYT)は、がん悪液質の患者によく見られる食欲不振や疲労などのいくつかの症状を改善するためにアジア諸国で処方されています。しかし、がん患者の食欲不振または疲労の改善におけるNYTの作用メカニズムは明らかではありません。したがって、本研究では、CellKey™システムを使用したin vitroアッセイを使用して、中枢神経系の摂食亢進シグナル伝達を活性化するいくつかのGタンパク質共役受容体(GPCRs)の活性に対するNYTの影響を調べました。

GPCRsの活性化を細胞内インピーダンスの変化(ΔZ)として検出します。NYTは、オレキシン1受容体(OX1R)および神経ペプチドY1受容体(NPY1R)を用量依存的に発現するヒト胎児腎細胞293(HEK293)のΔZを増加させました。それどころか、NYTは、成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHSR)を発現するHEK293A細胞およびNPY5Rを発現する細胞のΔZを有意に増加させませんでした。選択的OX1RアンタゴニストSB674042は、OX1R発現細胞におけるNYT誘導のΔZの増加を有意に減少させました。反対に、選択的NPY1R拮抗薬BIBO3340は、NPY1R発現細胞のNPYによるΔZの増加を抑制できませんでした。

さらに、12種類の生薬のそれぞれを除く一味抜きNYTを準備し、OX1Rの活性に対する影響を調査しました。 一味抜きNYT製剤のうち、陳皮を除いたものは、OX1Rを活性化できませんでした。12種類の生薬それぞれをスクリーニングした結果、陳皮はOX1Rを有意に活性化し、これはSB674042によって有意に抑制されました。これらの発見は、NYTと陳皮が、視床下部の食欲促進性OX1R発現ニューロンの活性化を介して食物摂取を増加させる可能性を示唆しています。この研究は、食思不振のがん患者に対するNYTの可能性を裏付ける科学的証拠を示します。

外部サイト https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2020.00005/full

抗がん剤使用に伴う食欲不振に対する人参養栄湯の効果およびその機序
Phil漢方80:22-25,2020
千葉 殖幹*、韓 立坤*、藤田 日奈*、高橋 隆二*
* クラシエ製薬株式会社 漢方研究所

〔概 要〕

本研究では、白金系抗がん剤の副作用である重篤な食欲不振をモデルに用いて、人参養栄湯の効果、およびその機序を検討した。本研究の結果、抗がん剤治療時の人参養栄湯の継続的な投与が、治療の継続とQOLを妨げる、食欲不振からの栄養不良に対して、効果的な支持療法である可能性が示された。また、その機序は、部分的にはGhrelin-GHSR経路を介していると考えられた。

外部サイト https://www.philkampo.com/pdf/phil80/phil80-09.pdf

人参養栄湯は視床下部弓状核のグレリン応答性および非応答性NPY ニューロンを活性化し、シスプラチン誘発食欲不振を抑制する
Ninjin-yoeito activates ghrelin-responsive and unresponsive NPY neurons in the arcuate nucleus and counteracts cisplatin-induced anorexia
Neuropeptides, 75:58-64, 2019
Chayon Goswami*1, 2, 5, Katsuya Dezaki*3, Lei Wang*1, 2, 3, Akio Inui*4, Yutaka Seino*1, Toshihiko Yada*1, 2, 3, 4
*1 Center for Integrative Physiology, Division of Integrative Physiology, Kansai Electric Power Medical Research Institute, Kobe 650-0047, Japan
*2 Division of System Neuroscience, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe 650-0017, Japan
*3 Division of Integrative Physiology, Department of Physiology, Jichi Medical University School of Medicine, Tochigi 320-0498, Japan
*4 Pharmacological Department of Herbal Medicine, Kagoshima University Graduate School of Medical & Dental Sciences, Kagoshima 890-8544, Japan
*5 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh 2202, Bangladesh

〔概 要〕

食欲不振はがん、うつ病および心不全などの多様な疾病における生活の質を著しく悪化させる。さらに食欲不振はサルコペニアやフレイルの原因となる可能性がある。これらのすべての疾病は医療や社会にとって大きな負担となっている。したがって、食欲不振を抑える手段の開発が待たれるが、現時点で有効かつ科学的根拠のある物質はない。人参養栄湯は12種類の生薬から成る漢方薬であり、食欲不振の治療に使用されてきた。しかしながら、その作用メカニズムは明らかにされていない。ニューロペプチドY(NPY)およびグレリンは、それぞれ、中枢性および末梢性の最も強力な食欲誘発物質である。本研究では人参養栄湯が摂食中枢である視床下部弓状核(ARC)のNPYニューロンやグレリン応答性ニューロンに影響を与えるか否かを検討した。我々はマウスのARCからニューロンを単離し、fura-2 蛍光イメージング法を用いて細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)を測定し、次いでNPYニューロンを免疫組織化学的に同定した。人参養栄湯(1 ~ 10 ㎍/ml)はARCニューロンの[Ca2+]iを増加させ、それらの大部分(80%)はNPY陽性ニューロンであった。この人参養栄湯応答性NPYニューロンの中の一つの集団はグレリンにも応答したが、別の集団はグレリンに応答しなかった。さらに、抗がん剤であるシスプラチンを投与したマウスは摂餌量および体重の低下を示したが、人参養栄湯の経口投与(1g/kg/day)はこれらの低下を抑制した。これらの結果は、人参養栄湯がARCのグレリン応答性およびグレリン非応答性NPYニューロンを直接標的にし、シスプラチン誘発食欲不振マウスにおいて摂餌量と体重を回復することを示している。人参養栄湯がグレリン応答性および非応答性NPYニューロンを活性化する情報伝達が明らかとなったことは、本剤をがんやうつ病、心不全、サルコペニア、フレイル、加齢に伴う食欲不振に対する治療薬として使用するための強力な基盤を与えるものである。

外部サイト https://www.sciencedirect.com/journal/neuropeptides/vol/75/suppl/C

人参養栄湯のマウス生存期間および老化表現型への影響
日本心療内科学会誌22(1)16-19,2018
高橋 隆二*、千葉 殖幹*、竹本 梨紗*、道原 成和*、韓 立坤*、藤田 日奈*
* クラシエ製薬株式会社 漢方研究所

〔概 要〕

フレイルに対する人参養栄湯の効果につき、ヒト早発性老化症候群モデルであるクロトーマウスを用いて、その全生存期間および老化表現型に及ぼす影響を検討した。その結果、人参養栄湯は、クロトーマウスの全生存期間の延長をもたらすとともに、摂餌量、体重、精巣・胸腺・脾臓・心臓・筋肉の重量、白血球中の単球・リンパ球の構成比の低下あるいは増加を軽減した。本結果より、人参養栄湯は、クロトーマウスにおいて、様々な加齢に伴う変化を軽減し、それらの複合的な結果として全生存期間の延長につながった可能性が示唆された。漢方薬は多成分系であり、様々な症状に同時に対応できるという特徴をもつ。一方で、フレイルには身体的フレイル以外に精神的フレイル、社会的フレイルも含まれ、その病態は多岐にわたることが知られており、今後、様々なフレイル病態に対する人参養栄湯の作用について、さらなる検証に努めたい。

担がんマウスにおける骨格筋機能低下に対する人参養栄湯の効果
Effect of Ninjin’yoeito on the Loss of Skeletal Muscle Function in Cancer-Bearing Mice
Frontiers in Pharmacology, 9:1400,2018
doi: 10.3389/fphar.2018.01400
Masahiro Ohsawa*, Junya Maruoka*, Chihiro Inami*, Anna Iwaki*, Tomoyasu Murakami* and Kei-ichiro Ishikura*
* Department of Neuropharmacology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Nagoya City University, Nagoya, Japan

〔概 要〕

日本の伝統的な漢方薬である人参養栄湯(NYT)は病的状態や身体虚弱のための治療薬として使用されている。がん悪液質は進行がん患者に見られる状態であり、進行性の機能障害をもたらす骨格筋の筋肉量減少と定義される。本研究において、我々はNYTががん悪液質における骨格筋機能の低下を改善するとの仮説について検証した。B16BF6メラノーマ腫瘍を移植したC57/BL 6J系雄性マウスでは腓腹筋におけるミオシン重鎖(MHC)の発現低下が認められた。さらに担がんマウスの腓腹筋ではSOCS3、リン酸化STAT3およびAMPKの発現が増加し、リン酸化4E-BP1の発現が減少していた。これらのデータは担がんマウスではアミノ酸代謝に異常をきたすことを示唆しており、これらの変容はNYTによる介入により正常化した。本研究によりNYTはがん悪液質でおこるサルコペニアを治療する新規の選択肢となる可能性が示唆された。

外部サイト https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2018.01400/full

人参養栄湯の摂取による糖尿病症状の改善
Improvement of Diabetes Mellitus Symptoms by Intake of Ninjin’yoeito
Frontiers in Nutrition, 5:112,2018
doi: 10.3389/fnut.2018.00112
Shigekuni Hosogi*1, Masahiro Ohsawa*2, Ikuo Kato*3, Atsukazu Kuwahara*4, Toshio Inui*4,5, Akio Inui*6 and Yoshinori Marunaka*1,4,7
*1 Department of Molecular Cell Physiology, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto, Japan
*2 Department of Neuropharmacology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Nagoya City University, Nagoya, Japan
*3 Department of Medical Biochemistry, Kobe Pharmaceutical University, Kobe, Japan
*4 Research Center for Drug Discovery and Pharmaceutical Development Science, Research Organization of Science and Technology, Ritsumeikan University, Kusatsu, Japan
*5 Saisei Mirai Clinics, Moriguchi, Japan
*6 Pharmacological Department of Herbal Medicine, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima, Japan
*7 Research Institute for Clinical Physiology, Kyoto Industrial Health Association, Kyoto, Japan

〔概 要〕

糖尿病はよく知られている一般的な疾患であり、世界的にみても最も深刻な社会問題である。様々な種類の薬剤が開発されているが糖尿病患者数は増え続けている。人参養栄湯(NYT)は様々な種類の代謝性疾患を改善するための漢方処方の一つである。しかしながら、これまでに糖尿病に対するNYTの効果は検討されてこなかった。本研究において、我々はストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスの血清グルコースレベルに対するNYTの作用の解明を試み、NYTの摂取はSTZ誘発糖尿病マウスにおいて、血清グルコースレベルを低下させ、インスリン感受性を高めることを見出した。骨格筋の組織間質液の酸性化はインスリン抵抗性を引き起こすことが報告されているが、NYTの投与はSTZ誘発糖尿病マウスに見られる骨格筋の組織間質液の酸性化をも改善した。さらにSTZ誘発糖尿病マウスの近位結腸ではNYTの投与によってNa+-モノカルボン酸共輸送体(SMCT1)の発現が増加する傾向が認められた。SMCT1は弱有機酸(pH緩衝分子)を吸収する能力を有し間質液の酸性化の改善をもたらす。本研究の観察結果に基づくと、NYTは糖尿病における間質液pHの上昇を介して高血糖やインスリン抵抗性を改善する有用な処方であることが示唆された。この間質液pHの上昇は、おそらく近位結腸で観察されたSMCT1の発現増加を介するpH緩衝分子(SMCT1の基質、弱有機酸)の吸収増加によって起こると考えられる。

外部サイト https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2018.00112/full

人参養栄湯はコルチコステロン誘発抑うつモデルにおける行動異常と海馬神経新生を改善する
Ninjinyoeito Improves Behavioral Abnormalities and Hippocampal Neurogenesis in the Corticosterone Model of Depression
Frontiers in Pharmacology, 9:1216,2018
doi: 10.3389/fphar.2018.01216
Kenta Murata*1, Nina Fujita*1, Ryuji Takahashi*1 and Akio Inui*2
*1 Kampo Research Laboratories, Kracie Pharma, Ltd., Tokyo, Japan
*2 Pharmacological Department of Herbal Medicine, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima, Japan

〔概 要〕

12種類の生薬で構成される漢方薬である人参養栄湯(NYT)は、疲労、四肢の冷え、食欲不振、寝汗、貧血の治療に用いられている。近年の報告で、NYTはアルツハイマー病患者の認知機能および抑うつ症状を改善することが明らかにされた。しかしながら、NYTが認知機能障害およびうつ病をどのように緩和するかについてはほとんど知られていない。そこで本研究では、コルチコステロン(CORT)誘発うつ病モデルに対するNYTの効果と作用機序を検討した。NYTは、3種類の行動試験でCORTによって誘発されたうつ様行動を改善した。さらに、NYTは、運動量に影響することなく、Y字迷路および新規物質探索試験の両方において、CORTによって誘発される記憶障害も改善した。さらに、NYTは、マウス海馬歯状回におけるCORT誘発神経幹細胞の増殖抑制および未熟神経細胞数の減少を抑制することも示した。これらの結果は、NYTがCORT誘発性行動異常および海馬神経発生の阻害に対して治療効果を有することを示唆する。

外部サイト https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2018.01216/full

人参養栄湯の疼痛に対する有用性の検証
Phil漢方68:24-25,2018
竹本 梨紗*、道原 成和*、韓 立坤*、藤田 日奈*
* クラシエ製薬株式会社 漢方研究所

〔概 要〕

本研究では、神経障害性疼痛モデルである絞扼性神経損傷(chronic constriction injury: CCI)モデルを用いて、人参養栄湯の疼痛に対する有用性を検討した。痛みには誘発痛と自発痛があり、本研究の結果、人参養栄湯の反復投与で誘発痛に対して有意な緩和が認められ、自発痛に対して有意差はないものの緩和傾向が確認された。

外部サイト https://www.philkampo.com/pdf/phil68/phil68-09.pdf

Therapeutic effect of a traditional Chinese medicine, ren-shen-yang-rong-tang (Japanese name: Ninjin’yoeito) on nitric oxide-mediated lung injury in a mouse infected with murine cytomegalovirus
International Immunopharmacology, 6(4):678-685, 2006
Kazuo Tanaka*, Sadaaki Sawamura*
* Laboratory of Infectious Diseases, Tokai University School of Medicine, Bohseidai, Isehara, Kanagawa 259-1193, Japan

〔概 要〕

The therapeutic effect of a traditional Chinese medicine ren-shen-yang-rong-tang (Japanese name: Ninjin’yoeito, NYT) on murine cytomegalovirus (MCMV)-associated pneumonitis was examined. In MCMV-pneumonitis, IFN-γ-induced nitric oxide (NO) mediates its pathogenesis. When mice, which had been infected with 0.2LD50 of MCMV at 28 days previously, were intraperitoneally injected with anti-CD3 monoclonal antibody (mAb), MCMV-pneumonitis was induced in the lung, where high amounts of IFN-γ-producing cells thereafter accumulated, accompanied by an elevation in the NO level in the serum and abundant expression of inducible NO synthase (iNOS) mRNA, thus resulting in all mice eventually dying. When the mice were orally treated with NYT (1000 mg/kg/day) once on the day of mAb injection and once the day after, the expression level of iNOS-mRNA was suppressed and NO level in the serum decreased. The survival rate improved from 0% to 57.1%. The pathological findings of the lungs in the NYT-treated mice were comparable to those of the uninfected controls. In contrast, NYT itself did not affect either the ratio of IFN-γ-producing cells or MCMV titer. As a result, NYT had a therapeutic effect on MCMV-pneumonitis by decreasing the degree of inflammation mediated by the IFN-γ-induced NO. It is also interesting to note that only two oral administrations of NYT had a therapeutic effect on viral disease.

外部サイト https://www.sciencedirect.com/journal/international-immunopharmacology/vol/6/issue/4

ブタ血清誘発ラット肝線維化に対する補中益気湯および人参養栄湯の作用
Effects of Hochu-ekki-to and Ninjin-youei-to, Traditional Japanese Medicines, on Porcine Serum-Induced Liver Fibrosis in Rats
Immunopharmacology and Immunotoxicology, 26(2):285-298, 2004
Takashi Ochi*1,2, Takuya Kawakita*1,2, Kikuo Nomoto*1,2
*1 Kampo (Traditional Japanese Medicine) and Healthcare Research Laboratories, Kanebo Ltd., Takaoka, Japan
*2 Kyushu University, Fukuoka, Japan

〔概 要〕

ウイスター系ラットにブタ血清を週2回、8週間腹腔内投与することにより誘発される肝線維化に対する漢方薬の抑制作用を検討した。実験期間中、補中益気湯、人参養栄湯(100, 300 mg/kg/day)および小柴胡湯(300 mg/kg/day)を1日1回、週5日間経口投与した。ブタ血清最終投与2日後のラットから血清および肝臓を採取した。補中益気湯および人参養栄湯は肝ヒドロキシプロリン、総コラーゲン量の増加を有意に抑制した。さらに、人参養栄湯は基底膜のⅣ型コラーゲンの増加ならびに血清中と肝臓内のプロリルヒドロキシラーゼ(コラーゲン合成酵素)の増加を有意に抑制した。補中益気湯もほぼ同様の作用を示した。小柴胡湯は肝ヒドロキシプロリンの増加に対しては有意な抑制作用を示さなかったが、血清中のⅣ型コラーゲンを著明に抑制した。また、これら3処方は血清中および肝臓内での線維化サイトカインTGF-β1ならびにIL-13の産生を抑制した。加えて、IL-13レベルと肝ヒドロキシプロリン量が正の相関を示すことを明らかにした。これらのことから人参養栄湯と補中益気湯はブタ血清誘発ラット肝線維化に対して、小柴胡湯よりも明らかな抑制作用を示すと考えられた。これら3処方はメカニズムの詳細は異なるであろうが、いずれも線維化サイトカインの産生を抑制することにより、コラーゲンの合成および肝での線維増生を抑制しているものと推察された。

  • 十味敗毒湯
  • 抑肝散加陳皮半夏