十味敗毒湯は、江戸時代の外科医である華岡青洲が創製した漢方薬で、化膿性皮膚疾患、蕁麻疹、湿疹などの皮膚疾患に用いられています。柴胡、甘草、桜皮、桔梗、川芎、生姜、独活、防風、荊芥、茯苓の10種類の生薬により構成されており、消炎、排膿、抗菌、止痒、浮腫や分泌物の抑制などの作用をもちます。
図1. 十味敗毒湯に配合される生薬と薬能1)
十味敗毒湯は皮膚疾患の中でも尋常性痤瘡への使用経験が増えており、外用抗菌薬やアダパレン、過酸化ベンゾイルといった西洋薬との併用療法として注目されています2-4)。また皮脂合成抑制作用5)や好中球集積抑制作用6)、抗菌作用7)、抗酸化作用8)などの作用メカニズムも明らかとなっています。
この特集ページでは、十味敗毒湯を処方している臨床医へのインタビューを交えて、十味敗毒湯の最新の知見を提供していきます。