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抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏

臨床報告

■ご所属は論文発表当時のものです。

精神症状

アトピー性皮膚炎患者の痒みおよび精神症状の改善に着目した抑肝散加陳皮半夏の効果

Effects of Yokukansankachimpihange on Both Itching and Emotional Symptoms Affecting Atopic Dermatitis Patients
皮膚の科学 8(2): 244-248, 2009
黄 昌弘*、弓立 達夫*
* 近畿大学医学部堺病院 皮膚科

〔概 要〕

アトピー性皮膚炎は、慢性に経過する炎症と瘙痒をその病態とする湿疹・皮膚炎群の一疾患であるが、重症例においてはその病勢の修飾に心理的ストレスが関与し、嗜癖的あるいは依存的な掻破行動が生じ皮疹の悪化をもたらしている例もある。われわれは、易疲労感を伴う虚弱体質のアトピー性皮膚炎患者で神経の高ぶる患者25例に対し、慢性的な精神興奮症状の抑制効果が期待できる抑肝散加陳皮半夏(KB-83)を6週間投与し、被験薬のアトピー性皮膚炎に対する臨床的有用性を検討した。

その結果、漢方医学的所見、VAS所見、Skindex 16の所見のいずれの評価においても、投与前後で有意な改善効果を認めた。本試験により、抑肝散加陳皮半夏は、精神症状を抑制することにより痒みおよび皮膚特異的QOLを改善させる薬剤であると考えられた。

PDF GR-040
外部サイト https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch/8/2/8_2_244/_article/-char/ja/

アルツハイマー型認知症に対する抑肝散加陳皮半夏の臨床的検討

Study of the clinical efficacy of Yokukansankachimpihange on Alzheimer’s disease
精神科 14(6): 535-542, 2009
宮澤 仁朗*
* 医療法人ときわ病院

〔概 要〕

アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease ; AD)の中核症状に対して使用されるドネペジル塩酸塩には、興奮・精神不穏などの精神周辺症状や消化器症状などの副作用が惹起されることがある。認知症に伴う精神症状に対して第二世代抗精神病薬による薬物療法が状況に応じて実施されるが、米国食品医薬品局から脳卒中による死亡リスクの上昇が認められることが通知されており、使用には細心の注意が必要である。

近年、認知症およびその周辺症状に対して漢方薬の有効性が多く報告されている。そこで当院では、ADと診断され、ドネペジル塩酸塩服用中で周辺症状の効果不十分または悪化の患者、あるいは消化器系副作用により継続が困難な患者18例に対し抑肝散加陳皮半夏(KB-83)を8週間投与し、その臨床効果および有用性を検討した。

その結果、抑肝散加陳皮半夏の投与により、認知症の周辺症状に有意な改善を認め、とくに攻撃性で顕著な改善がみられた。また、消化器症状はいずれも有意な改善を認め、症状のあった症例すべてで改善を示した。中核症状は有意な変化はみられなかった。日常生活動作では、抗精神病薬で注意をしなければならないADLの低下は、一例も認められなかった。

本研究から、消化機能の低下している高齢者や消化器系副作用に悩むAD患者に対して、抑肝散加陳皮半夏は有用な治療薬であると考えられた。

PDF GR-041

アトピー性皮膚炎患者における抑肝散加陳皮半夏の効果
~イライラ感や不眠など精神神経症状の改善に着目して~

皮膚の科学9(15): 48-52, 2010
弓立 達夫*
* 近畿大学医学部堺病院 皮膚科

〔概 要〕

漢方治療は、西洋薬による治療と異なり単一の方剤で多くの薬効が期待でき、また心身両面に作用するという特徴を持つ。皮膚科疾患、特にアトピー性皮膚炎(AD)では、体に生じている皮膚炎という病態だけでなく、心の病態が大きく影響していることが知られている。抑肝散加陳皮半夏は、効能効果として虚弱な体質で神経がたかぶるものの諸症:神経症、不眠症などを有する。われわれは、抑肝散加陳皮半夏のイライラ感や不眠など精神症状改善効果に着目して、ADに対する有用性について検討した。その結果、抑肝散加陳皮半夏には精神症状のみならずADの皮疹の改善作用もみられ、これは主として精神面の改善作用によると考えられる。われわれは、難治のADにおいて皮疹増悪、かゆみ、ストレス、不眠の4つの要素が相互に関連しながら、悪循環に陥っていると推定している。最近の報告では、虚弱体質を改善して免疫バランスを調整する補中益気湯が、ADの難治症例において改善効果を有することが示されている。抑肝散加陳皮半夏と補中益気湯の生薬構成には5つの共通生薬があり、抑肝散加陳皮半夏にも易疲労感の改善が認められたことから、補中益気湯類似の虚弱体質、免疫バランスの改善作用も期待される。

以上のことから、抑肝散加陳皮半夏は心身両面の作用で、AD患者の悪循環を断ち切る多面的な作用を有し、西洋薬による多剤併用治療より、安全で経済的にADを治療できる有用な薬剤であると結論できる。

PDF GR-052

認知症に対する抑肝散加陳皮半夏の効果
-東洋医学的観点も加えて-

精神科 18(1): 108-114, 2011
馬込 敦*
* 医療法人茜会 昭和病院

〔概 要〕

認知症は、記憶障害や見当識障害などの中核症状に加えて、およそ8割の患者に幻覚、攻撃性、徘徊などの周辺症状(BPSD:behavioral and psychological symptoms of dementia)がしばしば現れる。

認知症患者において中核症状は大きな問題であるが、BPSDの各症状は患者のみならず、時として介護者にとって大きな負担となる。現在、認知症に対しては、アルツハイマー型認知症治療薬や抗うつ薬など様々な薬剤が使用されているが、必ずしも十分な治療効果を有するとはいえない。一方、抑肝散加陳皮半夏が日常生活動作を低下させることなくBPSDを改善させたという報告がある。今回われわれは、認知症と診断され、明らかなBPSDがみられる患者に対して抑肝散加陳皮半夏を投与し、日常生活動作やBPSDなどに対する効果を検討した。

その結果、日常生活動作(ADL)およびBPSDに有意な改善を認め、東洋医学的所見である気虚と気鬱に対しても有意な改善を認めた。認知症BPSDの改善と気虚・気鬱の改善との相関性を検討したところ、BPSDの改善は気虚の改善に有意な相関性(r=0.618)がみられ、白朮あるいは甘草、茯苓など補気・補脾の生薬の重要性も示唆された。加えて、食欲不振改善作用の報告がある陳皮についても、重要な補助的役割を担っているものと推定される。

本調査では、1日2回服用タイプの漢方製剤を投与した。服用回数を減らすことで介護者の負担が軽減し、服薬コンプライアンスが向上した点も良好な結果が得られた一因と考えられた。

PDF GR-053

禁煙治療に伴うイライラ感および消化器症状に対する抑肝散加陳皮半夏の有用性

The effectiveness of Yokukansankachimpihange on irritability and gastrointestinal symptoms that accompany the treatment of smoking cessation
医学と薬学 66(3): 529-533, 2011
長谷 章*
* 長谷内科医院

〔概 要〕

当院は禁煙治療を積極的に行うため禁煙外来を開設しているが、ニコチン離脱症状としてのイライラ感や禁煙補助薬バレニクリン酒石酸塩の副作用である消化器症状の出現によって治療継続が困難となるケースが散見される。そこでイライラ感などの精神症状と悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器症状の双方に効果が期待できる漢方薬の抑肝散加陳皮半夏を禁煙治療中の患者に投与し有用性を検討したので報告する。

PDF GR-063

難治性の皮膚瘙痒症に対する抑肝散加陳皮半夏の効果
-睡眠障害と瘙痒の関連性に着目して-

Effect of the Yokukansankachinpihange for both the intractable pruritus cutanea and the sleep disturbance
医学と薬学69(1): 131-135, 2013
中村 元一*
* 中村皮ふ科クリニック

〔概 要〕

皮膚科領域では痒みを伴う疾患はとても多く日常診療においてかなりの割合を占める。治療には保湿剤、ステロイド外用薬や抗アレルギー薬が使用されるが、これらの治療に反応せず苦慮する症例も多い。

近年、睡眠障害が瘙痒に密接に関係していることが示唆されており、診療において睡眠の質と皮膚の痒みの関係を考える必要がある。

抑肝散加陳皮半夏は、効能・効果に神経症や不眠症などが記載されている漢方薬で、睡眠障害を伴う患者の瘙痒に対して効果が期待できる。そこで今回、スタンダードな西洋薬を用いた治療を行うも改善傾向の認められない痒みを訴える患者に対して、睡眠障害の改善に着目し抑肝散加陳皮半夏を投与し有用性を検討した。

PDF GR-079

介護からみた認知症患者に対する抑肝散加陳皮半夏の有用性
-“飲むレスパイトケア”という提案-

The effectiveness of using Yokukansankachimpihange on dementia patients as respite care from the standpoint of caregivers
医学と薬学 69(1): 101-107, 2013
鈴木 郷*
* 医療法人 孝佑会 ごう内科クリニック

〔概 要〕

抑肝散は抗精神病薬でみられる転倒やADL低下などのリスクが少ないことから、認知症のBPSDに対して広く用いられている。抑肝散の加味方の一つである抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散に比べて、食欲不振や慢性的に消耗傾向のある人により適した処方といわれている。そこで今回、抑肝散加陳皮半夏の有用性を介護の視点から検討した。

PDF GR-080

ランダム化比較オープン試験による抑肝散加陳皮半夏の認知機能に関する臨床的検討

Effects of Yokukansankachimpihange on cognitive ability, an open randomized controlled trial
精神科 23(1): 130-138, 2013
藤田 日奈*、吉田 桃子*、与茂田 敏*、糸村 美保*
*クラシエ製薬株式会社 漢方研究所

〔概 要〕

55歳以上の成人男女で、やや消化器が弱く、疲れやすい、怒りやすい、イライラなどがあり、不眠症や軽い精神症状のいずれかが認められる41例を対象に4週間のランダム化比較オープン試験を行った。 投与群は抑肝散加陳皮半夏(KB-83)を投与し、対照群は非投与として、試験前後で認知機能と前頭葉における脳酸素代謝の変化などを評価した。評価はMMSE、ADAS-J cog.、NPI、DAD、前頭葉の酸素化ヘモグロビン変化量、課題の総正答数とし、KB-83服用による影響を検討した。

認知症が疑われるMMSE23点以下から認知機能が顕著に低下していないMMSE30点までと幅広い範囲の被験者を対象にKB-83を投与したところ、KB-83群は対照群と比較してADAS-J cog.の有意な改善、課題の総正答数の有意な増加が認められ、課題遂行時の脳酸素代謝が高値であった(p<0.05)。すなわち、KB-83は認知機能および課題遂行能力を有意に改善させ、さらに課題遂行時における左脳の前頭葉酸素化ヘモグロビン濃度を増加させた。

PDF GR-091

月経前症候群(PMS)に対する抑肝散加陳皮半夏の臨床効果

Clinical Effecacy of Yokukansankachimpihange for Premenstrual Syndrome
産科と婦人科 81(8): 1019-1025, 2014
萬代 喜代美*1、平井 光三*2、中井 恭子*2、出田 和久*3、浅原 彩子*3、井手 一夫*4、山辺 晋吾*5、高谷 友紀子*5
*1 茶屋町レディースクリニック分院
*2 南森町レディースクリニック
*3 茶屋町レディースクリニック
*4 茶屋町レディースクリニック心斎橋
*5 山辺レディースクリニック

〔概 要〕

PMS(Premenstrual Syndrome)は、抑うつや怒り、いらだち、不安などの精神的症状および乳房痛、頭痛などの身体的症状が月経前3~10日間続き、月経が始まると症状が減弱あるいは消失すると定義され、周期的、反復性の症状を示し、これらの症状によりQOLの低下が懸念される。薬物療法としてはホルモン療法や抗うつ薬があげられるが、十分な効果が得られない場合や治療対象とならない患者も少なからず存在し、現在のところ確立した治療方法はない。

抑肝散加陳皮半夏は、比較的体力虚弱なものの神経の高ぶりを抑え、落ち着きをもたらす漢方薬である。元来、小児癇症(落ち着きがない、泣きわめく、ひきつけなど)に用いる処方として考案されたが、今日では小児にとどまらず、更年期女性や高齢者に至るまで、おもにイライラなどの神経症、不眠症に対して幅広く処方されている。

今回、PMS患者の症状に対する抑肝散加陳皮半夏の臨床効果についてPMSの評価尺度であるMDQ日本語版、患者健康度としてWHO QOL26を用いた多施設共同研究を行ったのでその結果を報告する。なお、本研究は医療法人ケイズ会茶屋町レディースクリニック研究倫理委員会の承認を得て調査を実施した。

PDF GR-102

認知症の行動・心理症状に対する抑肝散加陳皮半夏の有用性

A preliminary trial in the efficacy of the traditional herbal medicine of Yokukansankachimpihange for the management of behavioral and psychological symptoms in dementia
老年精神医学雑誌 27(4): 438-447, 2016
眞鍋 雄太*1,*2,*3、横山 晴子*1、藤城 弘樹*1、梁 正淵*3、小阪 憲司*3
*1 横浜新都市脳神経外科病院 内科認知症診断センター
*2 藤田保健衛生大学 救急総合内科
*3 クリニック医庵センター南

〔概 要〕

すべての認知症性疾患では何らかの認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)を認め、これが在宅介護の継続を困難とする最大の要因となる。2000年にMcKeithらがアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AchEIs)の方が、D2受容体遮断薬よりもBPSD治療において安全性と有効性の面で優れていると報告して以来、AchEIsが第一選択薬として用いられるようになった。とはいえ、すべてのBPSDにAchEIsが有効というわけではなく、BPSDの内容次第では、薬剤選択で悩まなければならない。こうした中、BPSD治療に漢方薬、特に抑肝散という選択肢が追加された。

以後、抑肝散に関しては、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症でエビデンスが蓄積されつつある。一方、脱髄したミエリンの再生作用やセロトニン系を介した抗不安作用および食欲増進作用を示すグレリンの分泌を促すヘスペリジン、アミロイドβ蓄積抑制およびコリン作動性神経の変性抑制作用を有するノビレチンを含む陳皮を加味した抑肝散加陳皮半夏は、その薬理学的背景から抑肝散以上の有用性が期待されうる漢方製剤であるにもかかわらず、臨床研究報告はきわめて少ない。筆者らは、抑肝散加陳皮半夏のBPSDへの有用性に関し、有用性を特に示す症状、至適用量、セロトニン系神経に関連するBPSDへの有用性の有無を検討したので報告する。

PDF GR-117

不眠症に対する抑肝散加陳皮半夏の効果

Effects of Yokukansankachimpihange on insomnia
医学と薬学 73(4): 415-422, 2016
清水 純也*、勝岡 大貴*、山根 亮子*、赤松 京子*、髙森 眞理子*、髙森 信岳*
* 医療法人社団ほがらか会 室井整形外科・心療内科

〔概 要〕

本邦における不眠症の患者数は671.9万人であり、そのうち200万人が睡眠薬を使用し、その数が年々増加傾向にあるとされている。睡眠薬は、ときに、持ち越し効果、筋弛緩作用、前向性健忘、抗コリン作用などの副作用が問題となる。特に高齢者では筋弛緩作用による転倒が出現しやすいうえ、認知機能低下のリスクがあることが示唆されており、ベンゾジアゼピン系薬剤の長期服用によって認知症発症のリスクが43~51%増加するとの報告もある。

そこで当院では、不眠症患者に対し、漢方薬である抑肝散加陳皮半夏の効果を検討するとともに、睡眠薬の増量抑制や減量・離脱が可能であるかを検討した。その結果、12週間の投与により、睡眠の質の向上、抑うつ症状およびその他の自覚症状の改善が認められた。一部の症例では睡眠薬の減量または離脱が可能であった。

抑肝散加陳皮半夏投与により不眠症患者の睡眠の質が向上した。また、不眠だけでなく、不眠を生じる原因となる症状、および不眠から生じる様々な症状を同時に改善できる可能性が示唆された。

PDF GR-118

BPSDに対する抑肝散加陳皮半夏の臨床効果

Efficacy and safety of Yokukansankachimpihange on BPSD
医学と薬学 73(7): 846-853, 2016
勝元 榮一*1,*2、石田 徹*1,*3、木下 健司*1,*4、清水 聖保*1,*5、堤 俊仁*1,*6、長井 曜子*1,*7、西村 雅一*1,*8、横内 敏郎*1,*9、吉田 祥*1,*10
*1 大阪精神科診療所協会
*2 かつもとメンタルクリニック
*3 石田クリニック
*4 木下クリニック
*5 医療法人 聖心会 清水クリニック
*6 医療法人 適水会 つつみクリニック
*7 医療法人 三晴会 ながいクリニック
*8 西村クリニック
*9 医療法人 横敏会 よこうちクリニック
*10 吉田診療所

〔概 要〕

『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』では、認知症患者に対し、抗精神病薬は錐体外路症状、過鎮静、認知機能低下、脳血管障害と死亡率の上昇などの副作用があるため、定型抗精神病薬の使用をできるだけ控え、非定型抗精神病薬も必要最小限の使用にとどめることが推奨されている。

そのような背景の中、近年、漢方薬の抑肝散加陳皮半夏が行動・心理症状(BPSD)に応用されている。本研究では、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)の種類や投与経路を特定せず使用実態に近い条件のもと、抑肝散加陳皮半夏の多施設(9施設)共同臨床研究を行った。

その結果、抑肝散加陳皮半夏投与によりBehave-AD、及びその下位項目である「攻撃性」、「日内リズム障害」および「介護負担」のスコアが有意に低下した。一方、N-ADLの低下は認められなかった。抑肝散加陳皮半夏は「攻撃性」や「日内リズム障害(不眠)」などの症状を緩和することで介護負担を軽減すると考えられた。

抑肝散加陳皮半夏はBPSDの攻撃性が顕著なものが使用目標であり、さらに不眠を訴える場合により適している可能性が示唆された。抑肝散加陳皮半夏はアルツハイマー型認知症(AD)治療において患者はもちろん介護者にとっても有益な薬剤であると考えられる。

PDF GR-120
  • 十味敗毒湯
  • 人参養栄湯