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臨床医師へのインタビュー乙字湯(オツジトウ)

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インタビュー

宮澤 仁朗 先生

医療法人時任会 ときとうクリニック
院長 時任 敏基 先生
(インタビュー日:2015年9月24日)

profile

1986年
横浜市立大学医学部卒業 第2外科学教室に入局
大腸癌をはじめとした消化器一般外科の診療・研究に従事
1988年
2年間、理化学研究所ライフサイエンス研究センターで癌遺伝子の研究に従事
1994年
国内有数の大腸肛門専門病院である東葛辻仲病院(千葉県我孫子市)に勤務
1996年
同病院副院長就任
1999年
ときとうクリニック 開設
2006年
医療法人 時任会 理事長就任

日本大腸肛門病学会 専門医・指導医
日本外科学会 専門医
消化器内視鏡 専門医

医療法人時任会 ときとうクリニック 時任院長のインタビューを掲載いたします。
便秘・痔に対する乙字湯の有用性を語っていただきました。

インタビュー
「便秘・痔に対する漢方の臨床的有用性」

 乙字湯は江戸時代の医師 原南陽によって作られた漢方薬で、今日でも便秘や痔に広く使われています。今回は大腸・肛門疾患をご専門に、長年にわたり臨床の第一線で治療に当たってこられた時任敏基先生に、当該領域における乙字湯の有用性についてお話を伺いました。

[ インタビュー日:2015年9月24日 ]

はじめに大腸肛門外科領域での乙字湯の臨床応用について教えてください。

 痔疾の日常臨床で困るのが術後の排便管理です。患者さんにとって痔術後の排便は痛みを伴い非常につらいものですが、私は排便時の疼痛軽減に乙字湯を使用しています。

 手術創に対する抗炎症作用の他に、マイルドな大腸平滑筋の収縮(瀉下)作用、弛緩した大腸を持ち上げる(升提)作用、便そのものを柔らかくする作用もあるようです。柔らかくなるから腸管に合わせて便が細長くなる、痛みが軽減し、負担の少ない排便が可能になるという理屈かと思います。

 患者さん曰く、痛くて時間のかかる排便が乙字湯を飲んでおくとスルリと排便できるといわれ、退院されてからもお通じが良くなるからと継続投与を希望されることもあります。

多くの緩下剤の中で、乙字湯を選択する理由をお聞かせください。

 まず腹痛を起こしにくいということが挙げられます。前述のように乙字湯は多成分による総合的な働きにより緩やかに排便へと導きます。急激な腸管平滑筋の収縮を起こさないため腹痛を誘発しにくいという特徴があります。ときにセンノシド製剤など刺激性下痢で問題となることがある耐性・習慣性の問題もほとんどみられません。日中の下痢を恐れて外出を控えるといった煩わしさから開放されたと患者さんから喜ばれる薬剤です。

 また酸化マグネシウムなどの塩類下剤(緩下剤)は、血清電解質に影響を及ぼすため腎機能が低下した患者さんには使いにくいこともありますが、そうした心配もありません。

 便秘の効能・効果を有する薬剤なので、痔疾以外にも産婦人科や一般内科領域では、通常の便秘に使えると思います。いずれにしましても、患者さんの満足度を優先しています。

術後の排便管理以外にはどのような使い方ができますか?

 痔核に対してはやはり手術が根治です。最近ではALTA(内痔核硬化療法)という方法も増えてきました。しかし手術を嫌がる患者さん、手術までの期間を引き延ばしたい患者さんには、最初に乙字湯で治療経過を観察することが有用な場合があります。内痔核の炎症(腫脹)が甚だしいケースなどは、ある程度乙字湯の服薬を継続すると炎症が治まって手術が容易になることもあります。

 また術後においては、排便管理のみならず創部の炎症を鎮める目的で使用することもあります。

乙字湯の使用で気をつけることを教えてください。

 あまり知られてはいませんが、漢方薬にはメーカー間で配合生薬量に違いがあります。これを同名異方といいます。乙字湯でも瀉下作用を有する大黄(ダイオウ)の量が2倍違うものがあったり、中には便秘の効能・効果を持たない製品もあります。

 乙字湯の副作用でご注意いただきたいのは、抗炎症作用を有する黄芩(オウゴン)が配合されており、他の漢方薬と比較してアレルギー性の肝機能障害の頻度が高いというリスクがあることです。また甘草(カンゾウ)も含まれていますので、低カリウム血症にも注意が必要です。

 患者さんには用法・用量を守って頂き、普段と違う症状があればすぐに相談してもらうよう伝えています。

最後に漢方薬への期待などお聞かせください。

 便秘、痔で長期間ひそかに悩んでいる人は多いといわれ、あるアンケート調査では、軽症も含めて痔になった(悩んだ)ことのある人は75.2%とのデータもあります。内、外痔核の保存療法や術前術後の管理薬剤として、また生活習慣の見直しだけではなかなか改善できない慢性便秘症などにも、乙字湯は有用であると考えます。

 これからも幅広い診療科で使われることが期待されます。

臨床研究報告

  • 乙字湯の臨床研究報告 ALTA(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸)硬化療法と痔核結紮切除術の併用療法における乙字湯の効果
    乙字湯の臨床研究報告
    ALTA(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸)硬化療法と痔核結紮切除術の併用療法における乙字湯の効果

    加藤 典博 先生
    ふるだて加藤肛門科・外科クリニック

    品番:
    GR-037
    サイズ:
    A4 4P
    作成年月:
    2009年1月
    PDF 3.5MB
  • 内痔核・外痔核に対する治療成績
    内痔核・外痔核に対する治療成績

    吉雄 敏文 先生 ほか
    東邦大学医学部第一外科

    品番:
    GR-006
    サイズ:
    A4 4P
    作成年月:
    2013年1月
    PDF 1.4MB

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